冬山登山の警告
「冬山登山は危険と隣り合わせ、確かな技術と経験で」
平成16年12月1日      山岳遭難対策中央協議会
 毎年、冬山登山における遭難事故が後をたたず、特に年末、年始には、遭難事故が集中して発生しています。昨年も不十分な装備や実質的な予備日のない無理な計画による遭難が多発しました。なかでも、ここ数年、悪天候や大雪のため救助活動が困難な孤立遭難が頻発しています。悪天候の場合、ヘリコプターは出動できず救助隊の活動も非常に困難になります。

 冬山は、急激な気象の変化、大雪、雪崩など厳しい自然条件下にあり、たとえ優れた経験や技術、知識を有していても、天候の急変が遭難事故に結びつく場合が多々あります。 山での事故は自己責任であることを肝に命じ、日頃より、(社)日本山岳協会及び各都道府県山岳連盟等の開催する冬山登山のための研修会、講習会等に参加し、冬山に必要な知識や技能を身に付けるよう心がけるとともに、冬山経験が豊かで能力あるリーダーのもと、万全の準備を整えて登ることが肝要です。

 登山計画段階では、計画ルートとは別にエスケープルートについても、十分に検討してください。また、尾根の下降時は登高寺よりもルートを誤りやすいので、間違いやすい分岐や屈曲点は、事前に地図上でチェックしておき、現場で確認する必要があります。 

 さらに、どのような場合に引き返すべきかについても、あらかじめ具体的な判断基準を決めておき、引き返す判断がおくれないようにしてください。

 なお、遭難事故による家族や学校・職場、さらには広く社会に及ぼす影響を考え、知識や経験、技術の未熟な登山者はこの時期の安易な登山は慎しんでください。 

常に最新の気象情報活用を

「天気図は冬山把握のカギ」   
 日本付近が高気圧に覆われていれば、 山でも比較的穏やかな天気となり、山のすがすがしさを満喫することが出来ます。しかし、このような状態が長続 きすることはほとんどなく、山での天気は平地にいるときとは比較にならないくらい急激な変化をします。特に西高東低のいわゆる冬型の気圧配置では、 激しい風や雪、急激な気温低下が起こ ります。

 冬の何日問かの天気図を連続して見てみると、周期が短く、変化の激しい ことが見て取れます。下の天気図は、平成16年1月12日から14日の毎日9時のものです。 12日には本州付近は高気圧に覆われ、 北海道の一部で雪の他は全国的に晴れや曇りの天気で穏やかな成人の日となりました。しかし、天気図では日本海に低気圧があって東に進んでいるのがわかります。13日にはこの低気圧が三陸沖で急発達し、北日本や日本海側は大荒れの天気となりました。翌14日には低気圧が千島付近で猛烈に発達して北日本を中心に大荒れの天気となり、 札幌で最大瞬問風速31.4メートル、同じ北海道の北見市で1日の降雪量が53セ ンチとなり、富士山頂の気温も−16.3度 から、−28.8度と急激に低下しました。

  低気圧の通過に伴う強風や降雪の荒天は言うに及ばず、天気が良くて気温が上がったり、雨が降ったりすれば雪崩の危険があり、また冬型の気圧配置 で大雪になれば新雪雪崩の危険が潜んでいます。

 登山の数日前から天気図に目をとお して天気推移を監視すること、また、 登山を始めてからも常に最新の気象情報を利用して、どのような天気になるのかを把握しておくことが必要です。

 
気象情報の種類と内容(山岳を直接の対象としたものではありません)

1.天気予報 
    あさってまでの天気、風、降水確率、最高・最低気温など(毎日5,11,17時)
2.週間天気予報 
    あすから7日間の天気、降水確率、最高・最低気温など(毎日11時)
3.注意報・警報  
    災害の起こるおそれがあるとき、現象、程度、時間帯など(随時)

これらはラジオなどで放送されるほか、気象庁インターネットhttp://www.jma.go.jp/
および電話177で知ることができます。最新の情報を!
気象通報 : NHKラジオ第2放送(9時10分〜、16時〜、22時〜) 
 

遭難事故が急増しています!!
もう一度点検 計画と対応力
冬の自然は厳しく変化します。冬山経験豊富な信頼できるリーダー と、事故に対応できる力を持ったパーティーであることが必要です。

1 エスケープルート(万一の時の逃げ道)は考えていますか 
2 気象通報に注意をしていますか。(ラジオなど)
3 応急処置のための医薬装備は整えましたか
4 雪崩に対する心構えと装備は整えましたか(雪崩ビーコンなど) 
5 緊急時の連絡手段は用意しましたか(携帯電話・無線など) 
6 山岳保険の加入は済みましたか 
7 登山計画書はパーティー全員でよく検討し、理解しましょう
登山計画書はあなたの生命を守るザイルです
平成16年の冬山では遭難した105パーティーのうち86パーティー (82%)が、登山計画書の提出なし

登山計画書の提出先 
・家庭、職場、学校など
・山域の登山指導センターや案内所、登山口の登山届ポストなど
・登山地域の都道府県警察本部地域課(北海道を除き県庁所在地にあります)
  または地元の警察署、交番、駐在所 
 
登山計画書の提出
・万一の遭難事故が早くわかり、 救助活動がスムーズに行われます 
・無駄な捜索救助活動を省くことができます
・自分の家族が負担しなければならない捜索救助費用が少なくて済みます
・家族や関係者を安心させることができます


登山計画書の提出先には、必ず下山の報告をすること
これまでも登山計画書を提出したおかげで、命拾いしたという到列が数多くあります。
登山計画書を捉出するということは、あなたの生命を守るザイルであると考えて必ず実行しましょう

 
遭難事故防止の第一歩は登山計画書の作成と提出です 

平成16年の冬山における遭難発生状況
(平成15年12月1日〜平成16年2月28日)

  年別 発生件数 遭難者数(人)
死者 行方不明 重傷 軽傷 無事救出 合計
平成
16年
90 16 4 26 38 45 129
平成
15年
106 13 1 32 27 79 152
増減 -16 +3 +3 -6 +11 -34 -23

平成12年以降、遭難者数が5年連続して100人以上に!
”自分に限って”という油断は禁物、安全登山はあなたの心構えから!!

過去5年間の冬山における遭難の態様別発生状況(件数)
転・滑落 道迷い 転倒 疲労・
病気
天候
急変
雪崩 その他 合計
129(29%) 106
(24%)
67
(15%)
64
(15%)
26
(6%)
9
(2%)
38
(9%)
439(100%)

 
冬山に関する研修会、講習会等の問い合わせ先
文部科学省登山研修所
http://www.tozanken.jp/
TEL.
FAX.
076-482-1211(代)
076-481-1534
(社)日本山岳協会
http://www.jma-sangaku.or.jp/
TEl.
FAX
03-3481-2396
03-3481-2395