無雪期安全登山特別教室 実施報告

~八ヶ岳大展望のバリエーション入門講座~
スポーツ振興くじtoto助成事業
toto

はじめに

a地形図、GPSによるナビゲーションとバリエーションのルートファインディング、bロープを利用した安全確保、cツエルト等を利用した幕営、d基礎的な救助技術など,バリエーションルートでのでの行動の基礎習得を目的とし、toto助成を利用し参加しやすい受講料で無雪期安全登山特別教室を2015年10月に開催しました。

欲張った内容を沢と岩稜、パターンの違う場所で2日間で体験する試みでしたが、幸いにも参加者の方には好評を頂くことができました。

赤岳、阿弥陀岳、南アをバックに大同心の頭にて

1、実施日程と内容

(1)事前机上講習

机上講習 10月19日(月)  東京都山岳連盟事務所会議室 19時~20時半

(2)実地講習 参加者16名、 講師・スタッフ6名

10月24日(土) 八ヶ岳美濃戸口バス停集合10時10分  実地講習 約6時間

午前 集合後入山、赤岳山荘を経由し

午後 赤岳鉱泉着13時半~テント等を設営の後、14時半赤岳鉱泉発~ジョーゴ沢に入り、F3を越え本谷と右俣の分岐地点まで上がり、同下降。
幕営は(班分けをし、炊事食事は大テントで行ない、希望によりツエルト泊の体験をしてもらいました。

 

ジョーゴ沢F2を右岸から鷹巻く

赤岳鉱泉にてテント

 ~この日の講習ポイント~

・登山靴歩行、沢の地形とナビゲーションを読図とGPSを併用して行なったほか、ジョーゴ沢ではロープ確保とフィックスロープの通過、懸垂下降を行ないました。
・また、最後に大人数での炊事を行ない、ツエルト・テントで宿泊しました。
・この日、行動上リスクがあった点として、ジョーゴ沢F2右岸の巻道が浮石が多く、落石の危険があり、懸垂下降時は間隔を置いて行なった。

10月25日(日) 実地講習 約10時間(未明5時発) 

終日 実地講習 赤岳鉱泉5時発~大同心稜~硫黄岳11時~赤岳鉱泉12時半~美濃戸口14時半下山

当初の予定は稜線に出てからは横岳~赤岳~文三郎道に回る予定だったが、強風の吹き出しのため硫黄岳経由にコースを変更した。この日は登山靴での岩稜、稜線の歩行、尾根から岩場帯のナビゲーション、フィックスロープを利用した行動を行なった。大同心稜の岩場の通過にあたり、フィックスロープを利用して行動したが、3ピッチが途中に支点が少なく、ロープの使用にあたり積極的にロープを掴んで通過するように統一した指示を出すべきだった(指示がまちまちであった)。

強風の中の青空 大同心の頭

2、アンケート結果報告

(1)満足度(五段階評価 平均点)

 机上講習・資料以外は全体高い評価を頂くことができた。

  • 机上講習 4.2点  写真などを使った説明があればなお良い・資料が多い=事前送付希望・顔合わせができて良かった
  • 初日講習内容 4.4点  沢の景色が新鮮、自炊の献立内容が良かった
  • 2日目講習内容 4.6点  行動判断が適切、GPS利用法が学べた
  • 1 テント泊 4.5点  楽しかった
  • 2 ツエルト泊 4.7点  良い経験になった、設営に苦労した
  • 講師の指導 4.7点  参加しやすい、班が少人数で良かった

(2)自由回答

① 大同心稜~硫黄岳山荘  強風も良い経験、展望が素晴らしかった

  • 危険を感じた場所は?  ジョーゴ沢F2巻道の浮石、大同心稜フィックス行動
  • 講師判断への疑問など  フィックス通過の際の指示が講師により違った・大同心稜のコース内容、行動の仕方の事前説明
  • 講師判断に納得できた点 2日目の天候判断、ペース配分、コース変更

(3)その他

入門のバリエーションでの講習をシリーズ化して欲しい
今までの都岳連の講習とカリキュラムの組み方が違い興味深い
アイスクライミングの講習希望(複数)

今回、登山道の無いバリエーションルートでの行動を学ぶ入門講座を開催し、参加された講習生の皆様からはおおむね高い評価を頂くことができた。一方、ジョーゴ沢F2巻道の浮石、大同心稜の岩場の通過時のロープの使用方法など、リスクの高い箇所での行動方法はより細心の注意を払う必要があることを今後の講習に活かしていきたい

以上