安全走行講習会と日本山岳耐久レースに参加して「僕の人生も変わった」

(第11期生)中野嘉一郎 さん

日本山岳耐久レースを完走した中野さん

2018年10月7日、私は日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)に初めて出場しました。安全走行講習会(安走会)の全課程を修了、検定に合格し、移動審判(マーシャル)として出走権を頂いたことによります。それまでの私はロードでのフルや70km以上のウルトラマラソンの経験はあるものの山岳レースの経験に乏しく、42kmを超えるトレイルレース自体、初参加でした。夜20時ごろ三頭山への登りのコース際で、疲労を癒すため小休止とばかり座りこみました。ふと思い立ちヘッドライトをオフ。瞬く間に真っ暗闇に包まれ、一瞬自分がレースに参加中で、しかも運営の一端を担っていることを忘れるほどの静寂が私を包みました。半年以上前の自分からは全く想像がつかない、その時、その場所にマーシャルとして出走している現実が不思議に思えてきました。

年以上前とは、安走会への参加以前のことです。私は夏季のランニング練習の一環としてトレイルランニングを始めた数年前から、その面白さにのめり込みました。しかし走行距離を延ばし、山に行く回数を重ねるにつれ、このままで良いのか?という疑念を持ちました。つまり、リスク(道迷い、ケガ、天候変動、装備不備、etc)への対応策など、山を走ることにおいて必要な体系だった知識、技術を学習する必要性を強く感じたのでした。安走会の情報を友人から得たときは、求めているものはこれだとばかり、自分の経験値の低さを顧みず応募。当初は経験値の高い同期生に囲まれかなり気後れしたものの、座学から始まった毎回の講習内容の習得にはかなり復習が必要であり、周囲を気にするより自己のレベルを一気に上げることに専念するようにしました。

ースでの夜間走行も当然初体験ですが、存外落ち着いている自分に少し驚きました。安走会での二度の夜間走行、ビバーク実習を経たお陰であるのは間違いありません。実際、私はナビなしの自動車運転が苦手なほどの方向音痴です。しかし修了検定時、大雨注意報が出る深夜の山中を単独走行した経験から、読図技術、そしてコンパス、ライト、予備電池などの装備と食料(と少しの勇気)さえあれば打つ術はいくつかあることを学習しました。

て、私がマーシャルとしてレース運営に貢献できたかについてはいささか自信がありません。幸いにして私の走行中に遭遇した選手の皆さまは規定を遵守されかつ不調者もなく、対処が必要な機会に遭遇しなかったからです(数度の情報提供やごみ拾い程度)。運営側としての参加自体初めてであり出走前は不安でいっぱいでしたが、過酷なレース状況の中でも自分を見失わず、かつ時として周囲のランナーに声掛けするなど、マーシャル業務を常に意識できたことは自分でも驚きであり今後の自信に繋がるように思います。これはひとえに安走会同期の仲間と共に取り組んだ事前準備活動(試走、マニュアル作り、シミュレーション等討議、etc)が活きたのであり、そもそもコースのどこかを走っているだろう同期に想いを馳せることで最後まで気持ちを維持出来たためでしょう。そして何より、安走会を運営されてこられたスタッフの手厚い(時に厳しい)ご指導の賜物であることをレース中にもひしひしと実感しました。コースの要所要所では安走会スタッフはじめ、レース運営に携わられる多くの方々が我々マーシャルに檄を飛ばしてくれます。時として襲ってくる不安、それを乗り越えられたのは安走会を通じて形成された人との繋がりのおかげなのでした。

奥多摩の山々71.5kmをぐるっと巡りながら、半年間の安走会での濃密な日々は実にハセツネCUPの一部であり、人の輪から大きな力を頂けたことを身に沁みて実感した二日間でした。そういえばハセツネCUPのコースも「大きな輪」ですね(笑)

そしてついにたどり着いたフィニッシュ地点。マーシャル業務を果たした安堵感とともに、私に安走会を紹介してくれた友人の言葉を噛み締めたのでした。

“安走会に参加して人生が変わった”

今年度の安全走行講習会への参加は、こちらの申込フォーム又は日本山岳耐久レースのホームページよりお申し込みください。

申込期間 : 2019年2月2日(土) ~ 2019年2月28日(木)