2004年度第2号

都岳連の現状

副会長 松元 邦夫

 都岳連最大イベントの「山岳耐久レース」も参加者1574名、完走者968名で多少のトラブルもありましたが、加盟団体員・地元ボランティアの皆さんの協力のおかげで大会自体は無事終了いたしました。これもひとえに、御協賛会社・地元関係各位の強力なバックアップの賜物と感謝しております。

顧みれば、12年前の第1回目の「山岳耐久レース」は、ストップウオッチ片手に計測をし、運営資金も、加盟団体員の皆さんに故小林勉元会長の名前で約 200万円もの惜り入れをし、運営することができました。今でも私の手元には回収した借用書の束が残っております。毎年耐久レースの時期になりますと、この回収した借用書を処分しようと持ち出しますが、また何となく元の箱に戻してしまいます。

当時は、今のような大きな規模になり、さらに12年間も続くとは誰しもが想像はしなかったと思います。この分だと申込者3000人を超すのも時間の問題かもしれません。よく冗談に「専従職員が要るね」と話題に出ますが、もしかしたら現実になるかも知れませんね。でももう少し規模を縮小して、内容を充実させましょうよ。

今回は多少のトラブルもありましたが、何はともあれなんとか終了することができたのも、御協賛・御協力の皆様方のお蔭と思っています。再度紙面をお借りし、御礼申し上げます。

ところが、反省・報告書も出ないうちに、再度大イベントが控えております。大げさに言えば47年に1回の、全日本登山体育大会です。
11月の20日から22日まで奥多摩の山々で開催されます。もうすでに全国から350人以上の方々が申し込まれております。

ただ今回は耐久レースと違って、コース整備・関門などのややこしい準備の必要もありません我が東京の山々を、全国の皆さんに知ってもらい、ご案内する事が目的です。輸送・宿泊・ガイド・パーティと、またまた皆様のお手をわずらわすことになると思います。御協賛会社の皆様方にも、再度ご協力をお願いすることになると思いますが、その節にはよろしくお願いいたします。

そしてもう一つ今年度中に都岳連が行わなくてはならない事業があります。すでにご承知の事と思いますが、指導員制の変更です。現行のコーチ指導員制度は、6段階(厳密に言えば8段階)に分かれていますが、17年度よりの新制度からは、4段階に変更になります。A級・B級コーチが上級コーチに、C級コーチがコーチに、A級・B級指導員が上級指導員に、C級指導員が指導員になります。

前回の指導員制度の変更のときも、特別措置として移行講習を受けることにより、地区指導員がC級に2種指導員がB級に、1種指導員がA級指導員に、上級コーチ
がB級コーチに移行しました。今回もC級指導員を全員
B級指導員に無条件で移行出来ないかと、小野寺日山協指導委員長と体協に折衝しましたが、山岳だけを認めることは出来ないが、特例措置として、取得年数に関係なく、B級の共通教科と、各岳連の責任の下において何がしらかの検定をすることで、B級指導員に移行出来ることが認められました。

都岳連では5年間の山行歴と、三ツ峠において岩場の実技検定を行う事となりました(専門科目40時間と検定を省略)。指導員の資格取得の条件として、「3000m級、もしくはそれと同等の積雪期の登山経験が3年以上あること」「3級以上の岩場がリードできること」などがあげられています。山行歴及び実技検定は、その2条件の確認であります。

当然ながらB級指導員(17年度に上級指導員に移行現在のC級指導員から一気にA級指導員になる)に移行するには、5年間に最低岩場の本チャンのルート 10本以上、冬壁5ルート以上、アイスクライミング2~3本くらい(私個人の考え)の経験がなければ、上級指導員に移行させるべきではないと思いますし、申し込むべきでもないと思います。

石原指導委員長も「政治的配慮・義理人情も認めず実力で行く」と言っております。至極当たり前のことです。
このくらいの実力と経験があってこそ、冬山教室・岩登り教室・沢登り教室の講師が出来るのだと思います。

現在C級指導員は、188人おります。本音を言えば9割の方が上級指導員になりたいはずです。自分は、「岩登りをしないから」、「ゲレンデに行くが本チャンルートを登った事が無いから」、「2000m級はあるけど、3000mの冬山に行った事が無いから」と正直に思って、このチャンスをものにしなかったC級指導員が140人もいます。

検定員の方はこの140人の方々のことを考慮し、また現在のA級指導員は、2種検定を受け(東京以外では地区指導員から)、3年後に1種指導員の検定を受け、かつ新指導者制度になる時に、更に19時間の補講講習を受けてA級指導員になっております。この人達と同等になるわけです。お金と時間と労力も使ってA級になっております。この人達の事も考慮に入れ、あとからトラブルにならないような検定をお願いします。