2003年度第3号(1)

東京都山岳連盟の公益法人構想

企画室

 東京都山岳連盟企画室ではここ数年、公益法人について研究を重ね、理事会の席で報告してまいりましたが、2,3年ごとに企画室長が交代することによって、その間の研究成果がなかなかうまく引き継ぎが出来ない状況がありました。

現在の森谷会長の元で、今年度は企画室内に担当理事も設置して諮問員会的活動が進行しております。平成14年6月には拡大企画室会議をオリンピック記念研修センターで開催し、24名の理事の出席の中、この問題について討論をしていただきました。この場において、社団法人の設立に向けて一層の進展があるよう命を受け現在に至っております。

先日の1月理事会の席上でも簡単に経過報告させていただきましたが、時問の関係もあり、簡単なものでしたのでこの書面上で再度の経過報告をさせていただきます。

まず、公益法人の設立登記には営利法人と違って、民法34条に基づく法的根拠が必要となります。
そのために所轄官庁の認証が必要です。私どもの都岳連の場合、活動の性格から東京都教育委員会許認可の社団法人が妥当と考えられます。全国を対象とした活動であれば、文部科学省、また都内の活動であっても市民活動的性格の団体などは都庁内の文化局が許認可を出す社団法人もあります。

活動の性格としては、絶対に公益性を有することが必要です。事業が非営利性であること、永続性を有すること、都民、国民から信頼性を有することが必要です。そのために現金3,000万円以上の基本固定財産が必要です。株式会社や有限会社の資本金と同じですが、これら資本金は一時的な見せ金で登記が済みますが、社団法人の基本財産は監督官庁の定期的査察があるためにこの金には手をつけることは出来ません。また会費収入や事業決算がおよそ1,500万円程度の規模の事業団体であることが必要です。

公益性、公共性が絶対的に求められる法人ですから、組織を構成する役員にも平等性が求められます。偏った考え方などに進まないように役員の職業までにも介入してきます。

名を連ねている役員が、例えば教師など、複数名記載されていると必ず注意を受けてしまいます。無職といった名前の職種も的確性を欠くといわれています。このことについては、色々な職場、団体から集合し、組織化している都岳連ですから特に問題はないと思います。

実際に都岳連が社団法人設立の手続きをする場所は、都庁第2庁舎30階にある教育庁総務部総務課公益法人化係という場所です。

では、今後の動きでどのような予定があるのか説明します。まず正式の法人設立申請をする前に、都岳連が設立可能な団体なのか、不可能な団体なのか判断を仰ぎます。都の教育庁でこの判断を受けるための提出書類として、①設立構想、②設立趣旨、③事業概要(以上メモ書き書類)、④設立趣意書、⑤財産目録、⑥社員(会員)構成、⑦事業計画書、収支予算書、以上の書類を提出し、面接による口頭説明を加えて、設立可能か不可能かを仰ぎます。

設立可能団体という判断が出たあと、①定款、②社員(会員)名簿、③役員名簿(理事監事)、④役員就任承諾書(履歴書、印鑑証明添付)⑤過去2年の事業、収支報告書、以上を追加して認証申請書に添えて正式提出となります。

平成14年3月の閣議決定で、民法34条に基づく公益法人の設立については近年の社会情勢、経済情勢の変動を踏まえて、抜本的見直しを行うことが決まりました。法人税の課税適用を除外されている社団法人設立には中間法人団体に留まらず、営利法人団体までもが法律の網目をうまく利用して、社団法人設立を狙っています。そのためにブラックマネーも暗躍して斡旋業者までもいるということを聞いています。

あくまでも公平な見方で判断を下す監督官庁は、スムーズに手続きが進んでいっても許認可決定までには24ヶ月は時間がかかるということです。

この先、長い見通しとなりますが、停滞なく事務処理を進めていくことが東京都山岳連盟としては必要で、社団法人という名誉ある団体にしていくことで周囲へ信頼と安心を与えることに寄与するものと思います。

文責:山本春雄